歪む宇宙!アインシュタインリング奇跡の裏側
光が曲がる!巨大な重力が織りな...
宇宙には、私たちが想像する以上に「何もない」場所が存在します。それがボイド(宇宙の巨大空洞)です。ボイドは、銀河や星が極端に少ない、文字通りの「空っぽ」な空間。その大きさは、直径数百万から数億光年にも及びます。
ボイドの体積は、宇宙全体の体積の約95%を占めると推定されています。私たちが目にしている星や銀河は、ほんのわずかな「泡」の中に存在しているに過ぎないのです。
ボイドに銀河が少ない理由は、宇宙初期の密度ゆらぎが関係していると考えられています。密度が低い領域では、重力による物質の集積が起こりにくく、銀河の形成が妨げられるのです。
しかし、ボイドには全く銀河が存在しないわけではありません。稀に、ボイドの中に「孤独な銀河」が見つかることがあります。これらの銀河は、周囲の銀河からの重力的な影響をほとんど受けないため、特異な進化を遂げていると考えられています。例えば、ボイド内のある銀河は、通常の銀河よりも金属量が非常に少ないという特徴があります。
ボイドの研究は、宇宙の構造形成の理解を深める上で非常に重要です。ボイドの分布や形状を調べることで、宇宙初期の密度ゆらぎや、ダークマターの性質に関する情報が得られると考えられています。
ボイドは完全に均質な空間ではありません。内部には、わずかな物質が存在し、それがフィラメント状の構造を形成していることがシミュレーションによって示唆されています。このようなフィラメントに沿って、銀河がゆっくりと移動している可能性も指摘されています。
宇宙の95%を占めるボイドは、単なる「空っぽ」な空間ではなく、宇宙の構造形成や銀河の進化に深く関わっていると考えられます。ボイドの謎を解き明かすことは、宇宙の理解を深める上で不可欠な課題なのです。