脳の記憶圧縮、まさかの量子レベル!?
脳はニューロンの発火パターンを...
あなたは、盲目の人が音を反響させて周囲の状況を把握する「エコーロケーション」という能力を知っていますか? 驚くべきことに、一部の熟練者は、自転車に乗ったり、スケートボードをしたり、木々が生い茂る森の中をハイキングしたりすることができるのです。
従来、視覚を司る脳の領域は、視覚情報がない場合、他の感覚処理に利用されることはないと考えられていました。しかし、最新の研究では、盲人がエコーロケーションを使用する際、視覚皮質が活性化することが明らかになっています。つまり、脳は視覚情報を処理するはずだった領域を、音響情報の分析に再利用しているのです。
さらに驚くべきことに、エコーロケーションは盲人だけでなく、訓練によって視力のある人でも習得可能であるという研究結果が出ています。ある実験では、数週間集中的な訓練を受けた健常者が、目の前に置かれた物体をほぼ正確に特定できるようになりました。しかし、その精度は熟練した盲人のエコーロケーション能力には遠く及びません。
エコーロケーションは、音を吸収しやすい環境や、騒音が激しい場所では効果を発揮しにくいという限界があります。しかし、技術の進歩により、より高度な音響処理技術が開発されれば、視覚障害者の生活を劇的に改善する可能性を秘めていると言えるでしょう。
エコーロケーションは、盲目の人が音を「見る」ことを可能にする驚異的な能力です。脳の可塑性と訓練によって、その可能性はさらに広がることが期待されます。私たちは、まだまだ人間の潜在能力について知らないことが多いことを、エコーロケーションは教えてくれます。