不死身⁉ハダカデバネズミの癌克服法が衝撃的すぎた!
ハダカデバネズミは、驚異的な寿...
「最強生物」の名を欲しいままにするクマムシ。その理由は、極限環境を生き延びる「クリプトビオシス」という驚異的な能力にあります。でも、その凄さはあなたの想像を絶するかもしれません。例えば、人間の致死量の1000倍以上もの放射線を浴びても、あるいは宇宙空間の真空に10日間以上さらされても、彼らは平然と生き返るのです。
クリプトビオシスとは、クマムシが乾燥、極低温、高浸透圧、低酸素などの極限環境に置かれた際に、代謝活動を検出不可能なレベルまで低下させて休眠状態に入る現象です。まるで生命活動を一時停止させたかのように見えます。
クマムシが耐えられる環境は、まさにSFの世界。具体的に見ていきましょう。
長年、クリプトビオシスの秘密は体内で生成される「トレハロース」という糖が細胞をガラス化して保護するためだと考えられてきました。しかし、近年の研究で、それだけではないことが判明したのです。
鍵を握るのは、クマムシ固有のタンパク質群(TDPs: Tardigrade-specific intrinsically disordered proteins)。これらのタンパク質は、乾燥時に細胞内でガラス状のネットワークを形成し、細胞内の分子構造を物理的に保護する役割を果たします。
特に「Dsup (Damage suppressor)」と呼ばれるタンパク質は、DNAに結合して物理的な盾となり、放射線などのダメージから守ることが明らかになりました。驚くべきことに、このDsupタンパク質をヒトの培養細胞に導入すると、細胞の放射線耐性が向上することも実験で示されています。
衝撃の復活劇! クマムシはクリプトビオシス状態から、水さえあれば数分から数時間という驚異的な速さで活動を再開します。なんと、実験室では30年以上も乾燥状態で保管されていた個体が、水を与えられて復活したという記録もあるのです!
仮死状態の間、クマムシの老化は進むのでしょうか? 答えは「ほぼ止まる」です。
状態 | 代謝活動 | 老化の進行 |
---|---|---|
活動状態 | 活発 | 進む |
クリプトビオシス | 検出限界以下 | ほぼ停止 |
クリプトビオシスに入ると、生物学的な時間がほとんど経過しないと考えられています。これにより、環境が好転するまで、文字通り「時を止めて」待つことができるのです。
クマムシのクリプトビオシスは、単なる乾燥耐性を超えた、放射線、真空、超高圧といった地球外環境すら想定しているかのような究極の生存戦略です。そのメカニズムには、トレハロースだけでなく、固有のタンパク質という新たな秘密兵器が関わっていました。彼らの驚くべき能力は、生命の限界と進化の可能性について、私たちに多くの驚きと発見を与え続けてくれます。次に道端のコケを見かけたら、そこに潜むかもしれない「小さな不死身の生物」に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。